2018/08/02 カスタマーサクセス ブログ

カスタマーサクセスのKPIはどこに設定すべき?あの有名サービスのKPIは?

カスタマーサクセスは、直訳すると“顧客の成功”という意味を持ちます。提供しているサービスをご利用いただくにあたって、顧客が潜在的に持っている悩みを解決できるよう、能動的に働きかけることで、長期的な関係の構築や収益の最大化を目指す仕組みや、その概念のことをカスタマーサクセスと呼びます。

では、KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指数)は、どのように設定するのでしょうか?
ここでは、カスタマーサクセスを運用していくうえで大切な指標となるKPIの設定について、その具体例なども出しながらご紹介していきます。

 

1.結論!カスタマーサクセスでみるべきKPIは

カスタマーサクセスを推進するうえで特に大切にするべきKPIは、「継続率」「アップセル/クロスセル」の2つ。なぜ、この2つの達成率が重要なのか、触れていきましょう。

■1-1.継続率
ユーザーが継続して利用してくれれば、それだけ安定的に収益が上がることは、すぐにでも想像がつくのではないでしょうか。

サブスクリプション方式のサービスで利益を上げるためには、新規顧客を増やしていくよりも、今契約している顧客の解約(Churn)を防止することが重要です。ここでは、なぜ、解約を防いで継続率を上げることが重要なのか、その具体例を挙げて説明していきましょう。

たとえば、サービスの提供をして1年目は、新規顧客数=売上に直結します。顧客が多ければ多いほど、客単価が上がれば上がるほど、全体の売上が上がるのです。

サービスの提供から2年目は、新規顧客に加えて、前年から契約を継続してくれている顧客の売上も積み上げられていきます。これが、サブスクリプションならではの構造です。継続して利用してくれている顧客が多ければ多いほど、売上も積み上げられていきます。

ここで具体的に数字を挙げて考えてみましょう。ある企業のサービスは、毎年100件の新規顧客を獲得し、50%の継続率を維持しています。全体の契約数を数えると、1年目が100件、2年目が150件と増える構造です。3年目は、新規顧客100件、2年目の継続顧客が50件、3年目の継続顧客が25件となるため、全体の契約数は175件に増えます。

ただ、サブスクリプション方式のサービスでは、年々継続率が上がっていくことも珍しくありません。2年目の継続率は50%でも、3年目に入ると継続率は約80%以上になることが多々あるのです。もし、年々継続率が高まっていくと、全体の契約数にどのような変化があるのでしょうか。

(A)毎年の新規顧客数100件
(B)2年目の継続率50%
(C)3年目の継続率80%
(D)4年目の継続率90%

上記のような推移を示した場合、(A)100+(B)50+(C)40+(D)36=合計226件の契約数を得ることができます。この場合、サービスの提供から4年目で、継続顧客が新規顧客の数を上回る計算です。

新規顧客の数を増やすことだけでなく、継続顧客を維持することがどれだけ大切なことなのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。

サービスによっては、2年目の継続率が60%を超えるサービスもあります。もちろん高い継続率を打ち出すには、サービスにそれだけの価値がなければなりません。しかし、継続率のKPIを追っていけば、サービスの質をどんどんと高めていく機会を得やすくなり、継続顧客数も年々積み上げ、増やしていくことができるでしょう。

では、顧客が継続をやめようと判断するとき、どのような心理が働いているのでしょうか。おそらく、提供されているサービスに何らかの不満があり、利用を停止することがほとんどです。
そのため、継続して利用してもらうには、顧客の満足度を上げる(少なからず満足度を下げない)取り組みが必要です。

顧客を満足させ続けることができれば、契約をやめ、競合他社のサービスに乗り換えることもなくなるはずですので、安定的に収益に結びつけることができます。

ここで活用できるのがカスタマーサクセスという考え方です。サービスにどんな不満があるのか、どんなサービスであれば満足度が上がるのかについて、つぶさに顧客や見込み客のニーズを捉えてください。先回りのサポートや、サービスの質そのものを向上させれば、顧客がそのサービスに飽きることはほとんどないでしょう。
そのため、カスタマーサクセスという概念によるサービスの構造充実が求められているのです。

■1-2.アップセル/クロスセル

アップセルとクロスセルも、サブスクリプション方式のサービスでは欠かせない売上アップの仕掛けです。

とくに満足度の高い客はさらに上位のアップセルや、違うラインのプロダクトサービスを購入する傾向にあり、一人あたりの顧客単価を上昇するのに一役買う存在です。Negative Churn(顧客の逆離脱率)とも呼びます。

このアップセルやクロスセルに対し設定したKPI値が満たされないときは、現在利用中のサービスの顧客満足度が低い可能性があります。そのときは、満足度を低下させている原因を突き止め、早急に対策を講じなければなりません。

あくまでも「顧客満足度を追及するため、顧客に対し積極的にアプローチすることで、継続してサービスを利用してらう」ことがカスタマーサクセスの目的です。顧客満足度の表れであるアップセル/クロスセルの成約数を上げること、そして継続率を高めることが、カスタマーサクセスという概念導入の成功の証ともいえるでしょう。
ベーシックプランの契約数とその継続でもKPI値を定め、アップセルやクロスセルでもKPI値を設定、それを実現するための活動の対象と担当部署をも決めます。

これまでアップセルやクロスセルの反応が少なかった属性に対して、満足度を補完することのできるサービスを提案できれば、その属性に設定したKPI値を満たすことができるはずです。
その結果、その属性の顧客を喜ばせ、Negative Churnという現象が起きれば、一顧客あたりの収益は何倍にも膨らむ可能性が…。こうしてカスタマーサクセスは成功を収める仕組みとなり得るのです。

 

2.「カスタマーサポート」と「カスタマーサクセス」のKPIが異なる理由

カスタマーサポートとカスタマーサクセス部署は、設置される目的がそもそも違います。カスタマーサクセスは顧客の成功を求めるのに対し、カスタマーサポートは顧客の満足度を上げることが目的ですので、KPI値の設定が異なるのは当然のことです。

■2-1.カスタマーサポートにおけるKPI

カスタマーサポートでは、お問合せやアンケートなどを用いて、顧客の悪い体験を改善することに努めます。事が起こってから対応にあたるため、アフターケア的な要素が強く、契約後の何らかのトラブルが発生したときだけ顧客と関わるのが特徴です。

設定したKPI値を満たしたかどうかを判断するタイミングは、カスタマーサポートにおいては「事後」です。
・ユーザーへの問い合わせにどれだけスピーディーに対応できたか
・1日ひとりあたり何人のユーザーの問題を解決できたか
・そのユーザーがオペレーターの対応に満足したかのアンケート
など、ユーザーとの接触が終わった後でしか結果を見定めることはできません。

■2−2.カスタマーサクセスにおけるKPI

カスタマーサクセスは顧客の声や利用状況などを元手に、顧客が経験する体験をよりよいものにしていくのが目的です。そのため、カスタマーサクセスでは契約前から積極的に関わっていき、顧客に働きかけていきます。

たとえば、
・顧客に適切な製品トレーニングを提供できているか
・問い合わせに対し、どれだけスピーディーに対応するか
・顧客の要望をどれだけサービスに反映させることができたか
・明らかに利用頻度が落ちているユーザーに対し、どれだけ最適なアドバイスをしたか
・年間契約の終了数ヶ月前から、適切なタイミングで契約更新の案内をしたか
などが、カスタマーサクセスにおけるKPIの設定項目となるでしょう。
カスタマーサクセスでのKPI設定は、契約前の時点、ないしはサービス利用期間更新前から始まるのが特徴です。

 

3.成功事例として有名なあの企業のKPIは?

ここからは、よく知られているあの企業のKPI設定についてご紹介していきます。

■3-1.Salesforce(セールスフォース)のKPI

カスタマーサクセスのさきがけ的な存在であるSalesforce。同社のKPIには、「契約更新率」が掲げられています。

同社では、契約更新となる半年~数ヶ月前に、提供しているサービスの活用度を調査してスコアを作成。「契約更新率」の他にも「平均活用スコアの上昇率」や「顧客反応率」、「顧客満足度」の3つをKPIに設定。スコアを用いて顧客を成功へ導く取り組みを続けています。

今現在提供しているサービスは、客観的には顧客にとってとても有効なツールかもしれません。しかし、顧客自身がツールを使い慣れていない、使い方を把握していないなどの問題があると、そのサービスを有効活用できず、現場では「役に立たないツール」と評価されていることが多々あります。
活用度が低い場合も、まだ使い慣れていないだけであって、契約更新の意思を持っているケースもあるでしょう。しかし、有効に使えないサービスに対して、高い満足度を抱いてもらうことは至難の業です。そのため同社では、現在提供しているサービスの満足度を高めるためにも、カスタマーサクセスチームが介入し、より活用度を上げるために働きかけます。

同社では営業が顧客に対してのヒアリングも行なっていますが、これは、活用度だけでは見抜けない満足度を知るためです。契約更新率を高めるには、活用度のスコアをチェックし、今後も活用する意思があるのかどうか、対面で確認する必要性を感じているからです。

■3-2. CloudSign(クラウドサイン)のKPI

クラウド上で契約書などを管理できるCloudSign。同社のカスタマーサクセスでは、チャットに重点を置いています。サイトにチャットサポートを設置しており、リアルタイムで顧客の質問や資料請求に対応します。そして、そのサービスのKPIに「対応の早さ」を挙げました。

このKPIは当初、暫定的に設定されたものでした。しかし、その後調査を続けていくと、「対応の早さ」が顧客の満足度を上げている最大の要因であることがわかったのです。

もちろん、顧客満足度に関わる項目は「丁寧さ」や「的確さ」などもあります。しかし、その中で顧客が最も重視していたのが「対応の早さ」でした。この事実に気づけたのは、暫定的でも、「対応の早さ」にKPIを設定していたからです。

もちろん、満足度を上げるためにはどの項目も大切ですが、同社は今後も「チャットの返答速度」をKPIに設定し続けていくとしています。

このように、顧客が何に満足度を抱くのかは、調査ないしは実施してみなければわからないことも忘れてはなりません。

KPIを設定するときには、売上や契約件数などに関わる部分でのKPI設定だけではなく、満足度に関わる周辺の事柄へのKPIについても設定するように意識したほうがいいでしょう。

そうすることで、サービスの現状をきちんと把握でき、充実させるべきポイントに気づくことができるようになります。

 

まとめ

KPIの設定は、「継続率」「アップセル/クロスセル」の2つを参考に、それぞれの事業で必要なKPIを見つけ出すことが大切です。また、実際にそのKPI値を設定していることが役に立っているのか、定期的に検証をし続けていくことも忘れないようにしましょう。