2018/07/26 カスタマーサクセス ブログ

カスタマーサクセスがSaaSにとって重要性が高い理由

クラウド上での利用が可能なSaaS(サース/Software as a Service)は、今やカスタマーサクセスを用いる代表的なサービスといえます。ではなぜ、SaaSを運営していくためにはカスタマーサクセスが重要なのでしょうか。ここでは、SaaSにおけるカスタマーサクセスの役割や重要性について触れていきます。

 

1.SaaSにおいて解約率が高いというのは致命的な問題である

SaaSのサービスは多くの場合、サブスクリプション方式のビジネスモデルを採用しています。月額定額制で利益を上げていくSaaSは、継続顧客が多ければ多いほど、利益をあげることができるビジネスモデルです。ここからはまず、SaaSにおいての解約(Chun:チャーン)の意味について考えていきましょう。

■1-1.ユーザー数が減り、利益率が低下する

SaaSで提供するサービスは多くの場合、サブスクリプション方式で提供されます。毎月の売上は少額でも、それが1年、2年と続くことで利益になるビジネスモデルです。

実際、サブスクリプション方式のビジネスを立ち上げ新規顧客を獲得するまでには、プロダクトの開発費や広告費、人件費など、さまざまな経費がかかります。そもそもの開発費用も回収しなければいけませんから、諸経費を踏まえても、一般的には1〜2年以上ユーザーが継続してくれないと経費は回収できないことになります。

もしこの事業のケースで、多くのユーザーに2年以内で解約されてしまったらどうなるでしょうか――。この場合は、事実上赤字となるはずです。このような売上構造から、SaaSの場合は短期間での解約を防ぐ取り組みが欠かせません。

また、サブスクリプション方式のビジネスモデルでは、さらに顧客単価を上げるアップセル、クロスセルの取り組みが盛んです。これは、これまでベーシックプランを利用してきた顧客にオプションの契約を結ばせ、さらに月々の利益率を上げる仕掛けとなってくれます。

しかし、解約が相次いで解約率が高くなると、このアップセルやクロスセル分の顧客単価上昇も見込めず、見込み客もつかめない状態に陥ります。利益率も減少し、時には経営をも揺るがす問題になることでしょう。

顧客がいなければ、アップセルやクロスセルを仕掛ける前に、顧客を増やす取り組みが優先されます。SaaSにおいて解約率が高いというのは、ビジネスの成長を止めてしまう点でも致命的です。

■1-2.プロダクトの存在自体が危うくなる

ここで一度、SaaSを解約したユーザーの心理を考えてみましょう。

SaaSを解約した理由は、そのプロダクトが「継続するにあたらないサービス」と理解された証拠といえます。しかも、「実際に利用してきたが、役に立たなかった」のですから、再び利用契約を結ぶことは、大幅なサービスの改善がなければ非常に難しいでしょう。

SaaSの解約は、顧客がプロダクトを通じて求めていた体験や目標の達成ができなかった証です。解約率が高いということは、そのプロダクトやサービス自体の価値が低いということみなされてしまったのです。

さらに、ユーザーにとっては価値の低いサービスに使用料を支払ってきた経緯もあるため、そのプロダクトに対してさらにネガティブな印象を抱きます。口コミ評価などで酷評されれば、新たなユーザー獲得も難しくなるでしょう。

成功体験を目的とするカスタマーサクセスに沿ってサービスを提供しているのにもかかわらず、そこに顧客の成功がないのであれば、それはあなたのプロダクトやビジネスの存在意義自体を揺るがす問題です。

■1-3.他社のサービスへの流出に繋がる

例えば、あなたが会計ソフトサービスを提供しているとします。会計ソフトは、会計処理が必要な法人や自営業者には欠かせないものであり、多くの場合、使わないわけにはいかない現状があります。顧客があなたの提供する会計ソフトを解約したとき、おそらく、競合他社の会計ソフトや税理士サービスの契約をしていることでしょう。

競合のサービスも、サブスクリプション方式での契約が多いため、再びあなたのプロダクトを契約する可能性は低いといわざるを得ません。

ヘアスタイルを変えたいとき、あなたは「今回はこの美容室でカットしよう」「次はあの美容室でパーマをかけよう」と、好みに合わせて行ったり来たりするかもしれません。しかし、SaaSビジネスの多くは月額定額制のサブスクリプション方式です。簡単に行ったり来たりできないビジネスモデルということを考えると、一度でも顧客を逃すことは、セールスに大きなダメージをもたらしてしまうのです。

 

2.カスタマーサクセスの目的の一つは「解約率を低くする」ことにある

「解約率を低くすること」のためにカスタマーサクセスがあると言っても過言ではないほど、カスタマーサクセスはSaaSにおいて重要です。

前述の通り、SaaSでは解約率が低くなればそれだけ利益がアップします。そして、アップセルやクロスセル等の利益増幅の機会も得られ、ビジネスをさらに拡大させることができるでしょう。

具体的には、カスタマーサクセスは、以下のようなことを実現させ、継続利用に結びつけることが可能です。

・解約をしようとしている顧客にヒアリングし、問題点を改善する
・新たな活用例を提示し、利用するメリットを見出してもらう
・現在のプランを見直し、顧客が満足できる最適なプランを提供する

以上は例ですが、プロダクトやサービスによっては、もっと多角的にアプローチができるでしょう。このようにして、カスタマーサクセスは解約率を低くする目的を果たしていきます。

■2-1.顧客心理にアプローチできるカスタマーサクセス

「サービスの契約を解約しよう」とユーザーが思う前に、カスタマーサクセスの概念を導入すれば、“顧客を成功へと導くこと”で解約を防止することができます。例えば、

・まだ利用していないサービスがあれば、それらを周知する
・解約するとどんな損益があるのかを示す
・不満点をヒアリングすることで今後の改善を約束する

などがアイデアとして挙げられます。

カスタマーサクセスでは、「解約したい」という心理に寄り添い、顧客を成功へと導くことが可能ですよう働きかけます。「利用料金が高いから」という不満があれば、利用プランを変更するなどして、さらに継続利用をしてもらうことができ、「使い方がよくわからない」というフィードバックがあれば、ガイド機能などをもっと充実させて使いやすくすることもできます。

■2-2.どこまでアクティブに働きかけるかの決定も重要
SaaSにおいてのカスタマーサクセスの有効性はわかっていただけたのではないでしょうか。しかし、今後具体的にカスタマーサクセスを実行していくうえでは、どこまでアクティブなフォローをしていくのか、決めておく必要があります。

例えば、「解約を防ぐ」ことだけを最優先すると、「特別に○%OFFにする」等、サービス内容に不公平性のある対処をしてしまうかもしれません。また、これらの小手先のカスタマーサクセスでは、持続可能性は低いといえます。

個々の成功体験を増幅しながら、個々の顧客に不公平性のない仕組みを根本から考えていくこと、そして、それが持続可能であることも、カスタマーサクセスでは大切です。

 

3.では、SaaSがカスタマーサクセスを実現させるうえでのポイントは?

解約率を低くするためには、多くの顧客に合わせた「成功」を提供することが必要といえます。顧客の信頼を裏切らないようにし、プロダクトやサービスに対して愛着を感じてもらうことも大切な要素です。

しかし、具体的に実行していく中では、顧客のニーズを把握し、利益を増やしていくことが重要でしょう。

■3-1.顧客のニーズを把握して改善することに尽きる
今、目の前にいる顧客がどんなニーズを持っているのか、すでに何を得ているのかを的確に把握していくことは、今後どのようなサービスを改善していくのかに繋がります。

例えば、顧客が思わず「そうそう、こんなサービスを求めていた!」と口にしてしまうようなサービスを提供していくには、とにかくきちんと顧客と向き合うことから始める必要があります。すでに顧客自身が認識している顕在ニーズはもちろんのこと、まだまだ未開拓の潜在ニーズも探らなければならないでしょう。

顧客はこれまでにどんな体験をしたのか、これからどんな体験をしたいのか、どんな体験なら喜んでくれるのか…。それらは、市場調査をしても、即座に答えを導くことはできません。今、目の前にいる顧客の体験を把握していないのであれば、カスタマーサクセスには役立たないのです。

・顧客の満足、不満のポイントはどこか
・その感情が発生した機能、場面、サポートは何か

これらの項目を考えることで、顧客が求めている体験は何かをまずは把握しましょう。ここでは、発生している事象だけでなく、顧客の感情に焦点を当てることも重要です。

■3-2.開発チームとの連携も大切

顧客の損益の状況を把握したら、しっかりとプロダクト開発のチームと情報共有してください。どれだけ問題改善点が可視化できようと、プロダクトに反映されなければ意味がありません。どのように課題解決をしていくかは、実務に当たる開発チームのアイデアも必要でしょう。

 

まとめ

SaaSにおいてどれだけカスタマーサクセスの考え方が重要であるか、ご理解いただけたでしょうか。解約率を下げ、使い続けたいというモチベーションを上げる仕組みを充実させることは、ビジネスを成長させるためには必要なことです。今、SaaSにおいて問題点を抱えているのなら、ことさらにカスタマーサクセスを実行に移していくことが大切です。