2018/10/05 カスタマーエクスペリエンス ブログ

クレームが無いのにチャーンが増加する理由と対処法について

特段サービスに問題がない(顧客からのクレームがほとんどない)にも関わらず、チャーン(解約)が増加傾向にあり悩んではいませんか。
「なぜ?」「どうして?」「どうすればいいの?」とチャーンの理由がわからず、今後どうすればよいか頭を抱えている状態にあるとき、ある側面に着目しなければならないかもしれません。
その“側面”とは何でしょうか。チャーンを抑制するためにどのような施策を施さなければならないのでしょうか。

今回は、クレームもないのにチャーンが止まらない原因と考えられる「顧客満足度」、つまり顧客の心理に沿う方法についてご説明します。
この方法を実践すれば、チャーンを抑制するだけでなく、より多くのファン(顧客)を手にすることができるはずです。

クレームがないことは、むしろ「悪」

クレームがない、もしくはクレームが少ないことは、顧客がサービスそのものに一定の満足感を覚えているということでもあります。しかしながら、それは必ずしも良いことばかりではありません。
満足感そのものはよいことですが、残念ながらすべての人が「100%満足」する商品/サービスはありません。一部のユーザーは不満を感じながらもクレームを入れず、サービス/商品を使い続けていることもあるということを覚えておきたいものです。

■クレームは「氷山の一角」、連絡してくれない顧客がほとんど
クレームといえば、顧客対応担当者の頭を悩ませる最大のものです。しかし、もしもクレームが少ない/全くないとき、それを「よし」とするのはどうでしょうか。クレームというものは、“一部のユーザー”が寄せるものであることを認識しておきたいものです。つまり、氷山の一角なのです。

大手企業を相手に経営コンサルタントを営むジョン・グッドマンは、その経験からある法則を発見しました。これを「グッドマンの法則」と呼びます。
グッドマンの法則によると、
・本社ないしは製造者へクレームを入れる=1~5%
・販売店や支社へクレームを入れる=5~25%
・クレームは入れない=75~98%
とされているのです。

いかがでしょうか。顧客対応担当者(本社ないしは製造者の場合)は、たった1~5%のクレームにしか接していないこととなるのです。
「クレームは改善のための宝物」といわれますが、“改善のためのタネ”を正しくつかんでいなければ、本当に困り果ててクレームを入れてくれる顧客へ適切な対応ができないだけでなく、目に見えない顧客の困りごとにも対応できないというわけです。

さらにいえば、隠れた「困りごとのある顧客」は、
・言っても何もしてくれないのではないかという心配を持っている
・過去に何も解決されなかったという苦い経験がある
・どこにクレームを伝えればよいのかがわからない
という心理的ハードルを感じているかもしれません。この思いから、困りごとを相談しない/クレームを入れないことを選んでいるのかもしれないのです。
これらの点から考えれば、クレームがない/少ないことは、必ずしも“善”ではないといえるでしょう。

クレームを素晴らしいカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)に変えるには

では、クレームに接したとき、どのような対応をすればよいのでしょう。相手はサービスや商品に何らかの不満を抱えている顧客です。感情面では「マイナスからのスタート」ですが、対応次第ではそのクレームを素晴らしい体験(カスタマーエクスペリエンス)へと導くことができます。

■1.顧客の不満と不安を引き出す

まず、顧客が何に不満や不安を感じているのかを聞き出さなければなりません。適切にクレームを受け付ける“入り口”はだれにでも公平に開かれたものでなければなりません。インターネットに通じていない高齢者などの、いわゆる“ネット弱者”と呼ばれる方でも、反対に電話を得意としない若い世代の方でも、コンタクトが取りやすいよう、想定する顧客の状態に応じた連絡方法(チャネル)を用意するべきでしょう。
・メール
・電話番号(フリーダイヤルならなおよい)
・チャット
・音声チャット
・FAX
・店舗スタッフ(実店舗を持つ営業形態の場合)
これらのチャネルをただ用意すればよい、というわけではありません。新聞広告やチラシ、Webサイトなどの目に付くところに連絡方法を掲載すべきではないでしょうか。
実際に“人対人”での対応ができる実店舗であれば、店舗スタッフは困っていそうな顧客に積極的な接触を試みる必要があります。

■2.最初のコンタクトで不満と不安を解消する

上でも触れたとおり、クレームを受け付けた際は、顧客は何らかの不満や不安を抱えている状態です。マイナスの感情を持ちながらもわざわざコンタクトする道を選んでくれたのですから、それに誠心誠意応える必要があります。
・何に困っているのかを聞き出す
・原因は何かを考える
・適切な部署につなぐ(電話をかけなおしてくださいと言わず、転送できるようにしておく)
・スピーディーな解決ができる体制を整えておく(マニュアルを常に最新のものにしておく)

クレームを寄せるという行為は、顧客にとって貴重な時間を割いている状況です。そしてサービスや商品を使えないという損失をも被っている状態です。
顧客にとっての「不満/不便」が解消できない時間が長引けば長引くほど、企業にとって損失リスクが増大することにつながります。「相談してよかった」「すぐに解決できた」と顧客に感じてもらえれば、マイナス感情を持っている顧客にとって「プラスの体験」となり、素晴らしいカスタマーエクスペリエンスへとつながるはずです。

■3.企業の誠意を示す

わざわざクレームを寄せてくれる顧客にとって、企業の誠意とは、
・素早く商品/サービスを使える状態に戻してくれる
・明らかに企業側のミスであれば、代替品の用意や返金を提案する
・問題の切り分けが難しければ、現場へ駆けつけて実際に使い方アドバイスをする
などでしょう。
可能な限り、顧客自身に「商品を送ってください」「こちらで確認している間お待ちください」などの手間や不利益を強いない方法での対応を行います。このような手間は、顧客にさらなるマイナス感情を与え、より不信感を抱かせてしまう結果となってしまいます。

顧客の「不満と不安」には3つの原因がある

顧客にとって、サービスや商品の使いづらさの原因は多岐にわたります。家電製品のマニュアルは年々簡素化される傾向にありますし、オンラインサービスならFAQがわかりづらい場所にあったり、顧客自身が操作法を理解できていないこともあるでしょう。
クレームの原因により、望ましい対応策は異なります。

■図らずも顧客が原因をつくっているとき

一消費者であるわたしたちだれもが経験することに、
・説明書を読まずに使用をスタートする(過去に類似商品を使った経験に頼る)
・使用中、トラブルに見舞われてもマニュアルを読み返さない(専門家=企業に聞いたほうが早くて確実と思い込んでいる)
などはないでしょうか。これは実際に顧客対応担当者が日々接しているクレームの多くを占めるものかもしれません。
顧客側の原因でトラブルが生じてしまったときには、まず生命や身体への危機など大きな問題がないことを確認したのち、トラブルの内容とそのトラブルが発生したタイミングや“症状”を聞きだします。
それに対応したユーザーズマニュアルのページ内容を説明し、顧客の手元にマニュアルがあるのなら、該当するページを伝えるとさらに親切でしょう。

しかしながら、顧客は「問題の解決」を望んでアクセスしてくれたのです。間違っても「マニュアルに記載しています」「マニュアルを読んではいないのですか」などの“反論”は避けましょう。
問題を解決してくれたうえ、顧客自身の手落ちもカバーできれば、その顧客はこころから感謝してくれるはずです。

■企業側が問題をつくっているとき

読みにくいマニュアル、商品やサービスが使いづらい設計であったなど、企業側が顧客の不安/不満を生み出していることも少なくありません。ある調査では、顧客の不満の原因の約半数は、企業側の問題であったとされているのです。
・広告に使用した文言が“誇大”で、顧客に大きすぎる期待を持たせてしまった
・問い合わせやクレームが生じたとき、部署により異なる回答をしてしまった
・使用に際し直感的に理解できない設計となっていた
・マニュアルは存在するものの、専門用語が多すぎて理解しづらい内容だった
このような問題は、間違いなく企業側の引き起こしたものです。これらが原因でクレームが増えた、チャーンが増えたことが感じられたら、すぐさま製品開発部門やテクニカルマニュアルライターなどにフィードバックし、改善を求めるべきでしょう。
顧客対応担当者は、顧客がどう困り、どのような“痛み”を経験しているかにこころを寄せ、気持ちの受け止めと誠心誠意の謝意とを表さねばなりません。

■従業員の教育不足

企業は、多くの従業員が一丸となって一つの目標に向かうための組織です。とはいえ、さまざまな部署がいろいろな仕事を担っていますので、それが原因で情報の共有がうまくいかないことも珍しくありません。
情報の共有がうまくいかなければ、上の「企業側が問題をつくっているとき」と類似したトラブルが発生してしまいます。
・顧客対応担当者などに、最新のマニュアルが配布されていない(一部のスタッフは古いマニュアルにあるとおりに行動してしまっている)
・バックオフィスからの情報が届かないことで、顧客対応に手間取ってしまう
・顧客対応の最中に他の“トラブル”に巻き込まれてしまい、回答がしどろもどろになってしまう

もちろん、顧客対応担当者の個性により、顧客のトラブルを解消するどころか「火に油を注いでしまう」結果となることもあります。しかしながら、全社的な教育が行き届いていない場合、上記のような事象が起き、結果的にどの顧客に対しても的確な問題解消法を提示できないことも少なからず生じます。

まとめ

カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)は、顧客がサービスや商品利用時のみならず、提供する企業と接触するときにも体感するものです。使用中に感じる「使いやすさ」だけで満足するのは当たり前のことで、今や、さらによりよい体験をしてもらうためには、企業側のサポート体制の充実が求められるようになっています。

企業にありがちな“縦割り”を取り払い、社内のだれもが同じ情報に触れ、いつ何時でも顧客に「問い合わせてよかった」「クレームを伝えてよかった」と思ってもらえるツールが不可欠です。
Zendeskのような顧客体験に寄り添えるツールは、カスタマーエクスペリエンスという概念にとても重要な役割を果たします。「いつ、だれが、どのような問い合わせをしたか」「だれが、どのような対応をしたか」「未解決の問題はないか」を共有できていれば、顧客側は「前回も同じような質問をしたのですが」などといった不満を持つこともありません。
カスタマーエクスペリエンスをより高みに導くには、情報共有がすべて、と言っても問題はないでしょう。